夢って遠いね

ほっと一息つきたいあなたに、ささやかな憩いの時間を。

やさしく考える詩のはじめかた #1 詩って何だろう?

第一回 詩って何だろう?

 はじめまして。藤夜アキと申します。
 この講座は、詩を書いてみたいけれど、どうやったら良いんだろう、と思ったり、書いている内に分からなくなった、という方向けに、もっと詩を分かってみたい私が、一緒に詩について考える機会を設けたものです。

 

 ちょっぱやで詩人になりたいんや、という方は名うての詩人さんに弟子入りしてくださいね(時代錯誤)。

 

 さて、それでは早速本題に。

 

「詩って何だろう?」

 

 第一回にして、おそらくこの講座の最大の難問です。もしかしたら、これが分かってしまったら、残りの回は自主休講してもらっても良いかもしれません
 いやいや、さすがにそれは寂しいので、どうか最後までお付き合いくださいね。
 ここからそこそこ長いので、ちょっぱやで結論だけ知りてぇんだ現代人なめんな、というせっかちな方はホイールやスクロールバースクランブルさせてください。

 

※以下、作者名や作品名の記述がない場合には、全てこの講座のための書下ろし詩文です。それっぽくするために引用表示にしていますが、特定の作品からの引用ではありません。

 

 たとえば、

 

 僕は今日、学校を休んだ。

 

 とだけ書いて、これを詩だと言い張るのには無理があると思います。カップラーメンを作って、料理を作ったと言い張るような感じがします。
 私たちは、一応中学校までをきちんと卒業していた場合、詩の素養みたいなものに関しては、かの有名なかまきりりゅうじさんの詩を目にしたりして、何とはなしに身に付けているはずなのです。

 

 平たく言えば、普通のことばから乖離している。


 ということですね。さっきの文については、普通のことばの範疇なので、詩っぽく感じないわけです。

 

 ところで、いわゆる書きことばというものは、ほぼこれに該当します。

 

 不敵に笑う彼女を見て、彼は背筋が凍りつくのを感じた。

 

 これはおそらく、普通のことばからは幾分離れています。まさか友だちとの会話の中で、「彼女が不敵に笑ってね」とか言わないはずですし、LINEで「俺はあれを見て、背筋が凍りつく気持ちがしたんだ」とか書いたりしません。
 よりリアリティ溢れる表現をしたり、ちょっとかっこつけてみたり、大げさに言ってみたりするのに使っているわけで、たまにネットで見かける、「ヤバい(語彙力)」とかいうのは、端的すぎることを嘆いている表現なんでしょう。

 

 でも、まだ上の文でも、詩だという気はしません。むしろ、小説の一文でも抜き出したのか? と感じた方が多いと思います。

 では、これはどうでしょうか。

 

 ショートケーキ、リンゴ、ピーナッツ、そして幾らかのキャンディ。

 

 私はこれを詩だと感じます
 詩なのか? と感じた方も大丈夫です。本来的には、一行で詩だと言い張れる詩はあまりありません。私は一行で詩を表現することも目指しているのですが、それはどうしても詩の一類型みたいなものになり、ここで扱うもっと包括的な詩の話とはかけ離れますので。
 でも、何か詩的かもな、と思いはしていただけたはずです。

 

 そう、めっちゃ平たく言えば、変なんです。詩って

 

 宮沢賢治クラムボンを思い出してください。「やまなし」自体は小説というか、お話だと思いますが、

 

クラムボンはわらつたよ。』
クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』
クラムボンは跳てわらつたよ。』
クラムボンはかぷかぷわらつたよ。』

 

 こんな部分なんて、詩だとしか思えません(さすがに極論ですが)。

 

 ここまで読んで、お前は詩を貶しているのか! と不快感を覚えた方もいらっしゃるかもしれません。
 滅相もない。私は心の底から詩を愛しておりますとも、ええ(うさんくせぇなぁ、だから告白がことごとく失敗した経験を背負ってんだろうなぁ)。

 

 じゃあ変なものを書こう、と思われたら大変なので、もう少しちゃんとした説明もしてみますと、小説との違いを考えてみれば良いわけです。
 私たちはその小説がどんなものかを知りたい時、えてしてあらすじに目を通します。
 そう、お話には筋書きがあるわけです。
 4W1Hが適用出来るんですね。
 いつ、どこで、だれが、なにを、どうした、です。

 

 でも、筋書きを持った叙事詩とかあるじゃないか! と神話が好きな方とかは仰るでしょう。
 確かに、詩の中にはストーリー性を持ったものがあります。けれど、詩という名がついている以上、それは高度な物語として構築されていません(当たり前ですが、叙事詩が物語的に低度であるとか言う気はありません)。

 

 もうわかんねぇよ! やさしくねぇよ!
 という方向けにミソの部分だけ書きます。


 小説特有の表現(「彼はそれを不思議に思ったのか」みたいな説明的・補足的表現)を基本的に持たないこと、です。

 

 でも、究極言うと、その辺りも読み手によって受け取り方が様々なので、「これは小説じゃないか!」「こいつを小説とは呼べねぇなぁ詩だなぁ」とか言われます。

 

 さあ、お待たせしました。
 今回の結論です。

 

詩らしく魅せること

 

 痛い、痛い痛い、石を投げないでください!
 こちらを読んでいただければ分かると思います。

 

 僕は今日、学校を休んだ。
 人生で初めてのずる休み。
 最初の爽快感と、つきまとう罪悪感と。
 嫌な学校より、嫌な胸の中。
 でも、今から行くかと聞かれたら。
 僕は答えるよ。
 願い下げだ、って。

 

 これは詩です。この手の文章を小説の賞に出したら、審査員が惚れてくれない限りは突っぱねられます
 これが詩になってしまうのは、これが詩の諸条件を持っているからなのですが、それについては次回以降じっくり見ていくとして、今回は、

 

 何か変に感じたらそれは詩だ。
 その変を生み出せたら、詩を魅せているということだ。

 

 ということだけ覚えて帰ってください。

 それでは、次の講座にもご出席なさってくださることを心よりお待ちしております。

 

 次回はこちら

tohya-aki-works.hatenablog.jp

【日記】私の詩の目指すところ 〜誰も傷付けない形で苦しさを言葉にすること〜

 こんばんは、藤夜アキです。

 

 梅田の地下を歩いていた折、ふと、浮かんできたもの。それをまとめたのが、次のツイートです。

 

 

 辛いこと、抱えていること、悩んでいることを、私はほとんど人に話しません。

 友達もいるし、相談できる相手もいます。でも、話しても、最後に思うのは、結局自分の選択なんだよな、ということで。

 どうするかは自分次第じゃん、そうとしか言えない悩みばかりで、それを聞かされることこそが、相手にとっての辛さとなるだろうから。

 言っても仕方ないんですよね。話すことで気が楽になる、新しい考え方が得られる、確かにそれもあるだろうけど、でも、私はどうしても、迷惑をかけただけだ、と思ってしまう。

 ただ、相談するのが苦手なだけかもしれません。でもやっぱり、みんな辛さを抱えているから。自分のそれも背負ってもらうなんて、とても私には出来ない。

 

 そんな思いを抱いている人は、たくさんいると思います。

 人間関係やら自分の責務やら、それらがもたらす苦悩を言葉に出来ない人、しない人というのは、デトックス出来ないわけですから、自分の中にもやもやした気持ちが溜まっていく。

 

 以前は、そんな人たちの言葉を聞く役割を担いたい、そう考えていました。でも、心の内を曝け出すことは難しい。気心の知れた人にさえ、遠慮してしまうのです。デリケートな話を、少し知り合いの程度の私に話すのはどうかと思う。

 私の方も、その人に常に寄り添ってあげられるわけでもない。無責任だ、と感じて、続けることは出来ませんでした。

 

 では、そういったことを聞いてくれる職業の人に話してみるべきなのでしょうか。

 少なくとも私は、仕事で聞いてくれる人に話すのは嫌で仕方ありません。

 わがままで、身勝手。だからこそ苦しいのですよ。分かってる。

 

 そうして私が一つ、思ったのは、この苦しみや悲しみを、言葉にして、置いておくこと。

〝ああ、そうだ、私もそんなふうに感じたんだ〟

 読んだ人が、そう思ってくれたら良い。

 きっとそれだけで、心は軽くなる。

 解決なんて出来ません。話したところで、聞いてもらったところで。

 私たちが本当に欲しいのは、僅かな安心。

 言葉にすることが出来ず、内側に抱え込んでいたものを、擬似的に外に出す。

 それを出来るのが、苦しみや悲しみを詩にするということなのだと。

 そんなふうに思いました。

 

 物語じゃ長すぎる。

 シチュエーションが違う、美しい人物の悩みに心を寄せれない。筋書きなんて要らない。

 だから。

 ただ、心に浮かんだことを、そのままに。

 悲しい、辛い、を少しだけ飾って。

 それを読んで、我慢していた涙を流せたら、そんなに素敵なことはない。

 

 私の詩が目指すのは、そんなところ。

【日記】気が向いたので書いてみる

こんばんは(それはきっと、いつでも)、藤夜アキです。

 

最初のブログを非公開にしてから一年くらい経ったでしょうか。

創作のために別枠で作ったこちらは、まるで役割を果たすことなく眠っていました。

 

あれから実況者になったり、投稿活動を毎月するようになったり、色々と生活が変わりました。

 

その中で、Twitterに書くには長すぎたり、小説家になろうで書くには不適当な、日記らしい何某を始めてみよう、と思いました。

 

ねえ、知ってます?

日記って、途切れがちでも続きを書けば、それで良い

んですって。どこかで読みました。

 

もともと日記をつける習慣のない人です。すごく気まぐれです。

でも、時々どこかで大量の文字を吐き出したい時があるので、これからはここでやってみようと思います。

【詩】恋、からから回ったって

 からから。
 私の恋はそんな音ばかりだって。
 嘆くばかりの十七も。
 諦めるだけの十九も。
 泣き続けた二十一も。
 何も変えてくれない。
 ただただ悲しみが募る。
 ねえ 私。
 そんな恋のままで良いの?
 恋の可能性を次の恋に求めて。
 次の恋 次の恋。
 消費するだけ 消費するだけ。
 同じものを買い直してるだけ。
 それじゃいつまでも空回り。
 あなたの知ってる恋を助けてあげて。
 意味をあげて。
 無意味じゃないよって言ってあげて。
 その恋が私にくれたもの。
 見つめれば 見つかるはず。
 ねえ だから。
 恋が私を救うように。
 恋した人に もう一度会えるなら。
 今度は恋させられるくらいに。
 からから回ったって。
 目をそらさないで。

 

 

あまりにも習作。出来に満足行かない作品。でも無理やり完成させました。

なのでこの作品はブログにだけ上げることにします。

 

頭の中に思い浮かべたフレーズに行き着くことなく、途中で進路が変わって、フレーズが歪んで出来上がっちゃったりすると、基本はサルベージ出来ない状態にするんですけど、出だしはすごく調子良かったので、供養を兼ねました。

 

くそう。リベンジせねば。。。

【詩】Mirror

 鏡は嘘吐きだ。
 外にいる私は、あなたの代わりに笑顔を作る。
 あなたの叫びを、気付かせないように。
 誰かが鏡に映る私を見ても、同じ私が映っていると思うだろう。
 生きたいと願う私が映っていると思うだろう。
 死にたいと願う私が映っていると思わないだろう。
 同じ私。
 違う私。
 私が一人だと思う人がいるなら、その人は私を全く知らない人で、私を完璧に知っている人だ。
 私は一人じゃなく、一人だ。
 矛盾している。
 生きたいと願いながら、死にたいと願う。
 死にたいと叫びながら、生きたいと叫ぶ。
 どちらも欲しいなんて、そんなわがまま。
 許されるわけがないよ。
 でも、私は幸せにもなれなくて。
 私は不幸せにもなれないんだ。
 誰かより幸せで、誰かより不幸せ。
 そんな相対的な幸せも、不幸せも、要らない。
 凄く幸せか、凄く不幸せか、どちらかが欲しい。
 私を一括りに染めてしまう、そんな強さが。
 私を殺して、鏡に映る私も殺すか。
 鏡に映る私を生かして、私も生かすか。
 片方は、私を壊すだけ。救わない。
 二人に分かれた私を、救わない。
 鏡は嘘吐きだ。
 そこにいる私は、私なのに、私じゃないのに。
 私も、私じゃない私も、結局は映してはくれない。

 

 

深夜の鬱シリーズの作品です。

深夜でなくても鬱的な作品は書きますが、とりわけ深夜にはきついのでこの名前を冠しています。

 

鏡は嘘つきだと思いませんか。

私という人間は、肉体と精神の両方で出来ているのに、鏡が映してくれるのは、自覚ある私の、肉体の部分(結局それは、他人が私を見て、私だと思っている外側の私と同じだと思います)だけ。

なのに、私を映している、なんて、あつかましい。

私は鏡が嫌いですが、それは別に今作のコンセプトとは別の理由で嫌いなんですが、その嫌い、というところから、こうした別の見方が生まれました。

 

私は一人ではないし、かと言って二人でもないとは思いますが、あえて二分するとすれば、生と死、それぞれを見つめる私に分かれると思います。

鏡が映してくれるのは、生を見つめる私だけです。

人の目に映るのも、そればかり。

このブログの運営方針について

こんにちは。

藤夜アキです。

先日はてなブログを始めて、色々使い方に慣れて来たのですが、「好きなものだけ詰め込んでやりました。」(http://tohya-aki.hatenablog.jp)は基本的に私があれこれ話す雑記帳的なブログにしたので、詩を唐突に投稿すると戸惑われる方も多いんじゃないかな、と思い、断腸の思いで(アクセスばらけるから)分けることにしました。

こちらは作品を読んでいただける方を中心に対象にしていければと思います。

 

小説家になろうに投稿する作品との兼ね合いは今のところ気にしませんが、連載形式の小説だけはこちらでは取り扱いません。ブログオリジナルを載せるかどうかはまだ決めていませんが、それは必要に応じて、ということで。

 

これからこちらでもよろしくお願いします。